この展覧会にあわせてBIRKHAUSER社から出版されたカタログと展覧会から都市に関して語れる数少ない建築家という印象である。

 

横浜の集合住宅の写真を見ると周辺の環境と ほとんど違いが無く、あまりにも抵抗なく挿入されているのに驚く。九州の集合住宅では都市の密度を上げることを試みながら見事にコミュニティーを作り出している。ここで気になるのは住戸がすべて中庭を向いているためか、周辺の街区に対して背を向けていることだ。寝室に開けられた開口部を持ったコンクリートの壁に鉄骨の階段がついている表情を見ると都市に対してファサードとしてはいかにも冷たい印象を受ける。96年の山本クリニックから随分変化があるように思えるのはその辺からかもしれない。この山本クリニックでは環境に挿入するというよりは敷地の状況からか、都市に対するファサードが作られ始めたようだ。以降、形態としての大屋根は影を潜め、建築の一部として空間を覆う。そして、この空間の存在感を消すかのように小さなスケールが使われている。結して強烈な印象を与える構造体は見られない。

 

 彼が言う環境は都市のそれだけでなく、建築のプログラムとしての環境をも含んでいる。それは社会或いは都市という現実を直視することが彼の建築になっている。そして、その空間は整然と構成されている。

 

 

 

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