住宅と建築家

最後にフランスの戸建住宅に関して、新築の場合建て売りが多く、建築家に依頼する施主はごく稀である。フランスの建築雑誌を見ても年間で数えるほどしかない。レム・コールハースのパリ近郊のサン・クルーの住宅「ヴィラ・ダラヴァ」のような例外はある。この施主は雑誌『ル・モニター』の建築部門のディレクターで何年間か建築家を捜し、コールハースに出会ったようである。かといって豪邸を建てる予算はなく、コールハースは業者をベルギーから連れてきて、2年以上の工期を要した。施主は随分待たされたことだろうが建築に理解があったのだ。

 

一般にフランス人は古いアパート・戸建住宅を購入して改装することが多い。ペンキ塗りからキッチンセットの据え付けまで自分たちでやることさえ少なくない。住居購入に予算を使い、工事を業者に頼む予算をみないこともあるが、材料・機器も簡単に手に入るし、基本的にブリコラージュが好きである。

 

そんな状況もあって、内装工事における建築家の仕事は設計よりも申請に絡む事務手続きから分離発注の監理・工程管理に重きが別れる。当然小さな現場に積算を頼む予算はなく、いくつかの見積もりが必要になってくる。小さなアパートの改装では工事が始まる前までの過程が工事期間よりもずっと時間を要する。

 

 

 

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