今回の展覧会とレクチャーを通して彼の足取りが見えてくる。展覧会だけでは分からない彼の根底にあるものが、何回かのレクチャーを聴いていて、少しずつはっきりしたものとなってきた。彼の辿ってきた過程はモダニズムの追求であるということ。それは誰もが彼はモダニズム建築の継承していると認めるところであるが、単なるスタイルとしてのモダニズムの建築ではない。

 

まず、人間性と社会をどう保護するし、救済するか、という考えが彼の建築の背景にある。このことが彼が社会的集合住宅に対してエネルギーを費やす理由であり、更にこの集合住宅が都市を形成する重要な要素であると彼は考えているからである。フランスという環境があるかもしれないが、個人のエゴイスムや利害関係だけによる建築とは全く異なるものである。

そして彼は都市を、領域を建築によって構築していくことを試行している。従来のプログラムのみ(ゾーニングといったほうが分かりやすいかもしれない)による都市計画に対する限界を念頭において、都市の形態・類型を作り出そうとしている。それらはいくつかの集合住宅のプロジェクトを通して一部が試みられているが、大学での彼の建築スタジオで鮮明に教えられている。プログラムが複雑になればなるほどその形象は新たな可能性を含んでくる。重要なことはプログラムを考えつつ、都市の形象を与えることであり、建築から都市を作り上げていくことである。

 

 

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